「ジョーカー」考察-バットマンは兄弟なのか?

サスペンス
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics/ http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/(画像出典)

全米大ヒットの「ジョーカー」。

各所で多くの考察が出ていますが、個人的に気になった「バットマンとジョーカーの関係」を中心に考察したいと思います。

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バットマンとは

DCコミックスの出版するアメリカン・コミックス。

1939年5月が初登場。(wikipedia参照)

ちなみにアメコミは日本の漫画のように一人の作者が作るのではなく、アニメのように多くのスタッフが参加して作るスタイルです。

主人公のブルース・ウェインは幼いころに億万長者の両親を亡くし、主に腕力と金の力で悪を倒すスーパーヒーローです。

特殊能力はありません。

ジョーカーとは

バットマンに登場する敵の一人。

1940年が初登場。(wikipedia参照)

バットマンには個性豊かな敵がたくさん出てきますが、その中でも一番有名です。

実は長い「バットマン」の歴史の中でジョーカーの物語は何度も描かれているので「これ」という決定的なものはありません。

映像化されるたびに少しずつ設定も違うので、どれを見ても大丈夫です。

個人的なおすすめは以下の2作。

1989年版「バットマン」

ジョーカー役は「シャイニング」でおなじみのジャック・ニコルソン

監督は「チャーリーとチョコレート工場」などで有名なティム・バートンです。

ティム・バートンらしい独特の色彩とドロドロした街の空気が魅力です。

「ダークナイト」

ジョーカー役は「ブロークバック・マウンテン」などに出演し、若くして亡くなったヒース・レジャー

監督は「インセプション」などで知られるクリストファー・ノーランです。

こちらはどちらかというとリアル系。

全米で大ヒットしました。

マーティン・スコセッシ監督作品との関係

この作品はマーティン・スコセッシ監督の作品から影響を受けているとされています。

特に以下の二作はストーリーの共通点が多いです。

「キング・オブ・コメディ」

コメディアンに憧れた主人公が暴走する話。

「タクシードライバー」

病に悩まされて社会に虐げられた主人公が暴走する話。


余談ですがこの映画で少女アイリス役を演じたジョディ・フォスターを偏愛する男が暴走して起こした事件があります。

テキサス工科大学の学生だったジョン・ヒンクリーは「アイリス」役を演じたジョディ・フォスターへの偏執的な憧れを抱く。(中略)ヒンクリーは「歴史上の人物としてフォスターと同等の立場になるため」に(レーガン)大統領の暗サツを企てる。

wikipediaより引用

今でいうストーカーですね。

まさに事実は小説より奇なりで、実際にあったというのは怖い話です。

ロバート・デ・ニーロ

この2作の主演はどちらもロバート・デ・ニーロ

「ジョーカー」で主人公のアーサーが憧れるコメディアンのマレー役を演じています。

つまりこの映画は、

かつて「暴走する若者役」だったデ・ニーロが、年齢を経て

年を取って暴走に巻き込まれる側を演じる」

という構造になっているのです。

何が真実で、何が嘘なのか?

信頼できない語り手とは

この映画は「信頼できない語り手」と呼ばれる手法で描かれています。

信頼できない語り手(しんらいできないかたりて、信用できない語り手、英語: Unreliable narrator)は、小説や映画などで物語を進める手法の一つ(叙述トリックの一種)で、語り手(ナレーター、語り部)の信頼性を著しく低いものにすることにより、読者や観客を惑わせたりミスリードしたりするものである。

wikipediaより引用


有名どころだと、日本探偵小説界の三大奇書とされている夢野久作『ドグラ・マグラ』

アニメ化もした大ヒットノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」などが同じ手法の作品です。


ひぐらしのゲームは最近ではiOS版アプリも出ているようですのでよかったらぜひ。

他にもいろいろおすすめしたいのですが、このタイプの作品は下手におすすめするとネタバレになるのが難しいところです。

アーサーとブルースは血縁関係?

この作品は主人公であるアーサー(ジョーカー)の妄想と現実が交錯しています。

そのため映っているシーンが真実なのか、妄想なのか判断がつきにくいです。

中でも個人的に一番真偽が気になるのは「アーサーとブルースは血が繋がっているのか?」ということです。

問題は、この映画を考察しようとすると作品の性質上

「最初から最後まですべてがジョーカーの妄想です!」という可能性も否定できないのですが、

それでは考察が成り立たないので

とりあえず

「映画の中ではっきり妄想と断定されているシーン以外はすべて真実である」という仮定

のもと、以下に考察したいと思います。

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キーポイントまとめ

病院の記録

アーサーの母親・ペニーには精神病院の通院歴が残っていて、

そこにはアーサーとの養子縁組書類や新聞の切り抜きなど公的な書類も残されています。

順当に考えればもっとも信じられる証拠です。

年が離れすぎ?

「アーサーとブルースが異母兄弟だったら年が離れすぎでは?」という意見を見ました。

登場人物の設定年齢は分かりませんので、

演じている俳優の年齢をwikipediaで調べてみました。


トーマス・ウェイン(父) 63歳
ブルース・ウェイン(バットマン) 9歳


ペニー・フレック(母) 65歳
アーサー・フレック(ジョーカー) 44歳


(公開時計算)

役者年齢で計算すると、トーマスとペニーはほぼ同い年

アーサーはふたりが20歳前後の頃にできた子どもという計算なので、さほど不自然ではありません。

この年齢で計算するとブルースはトーマスが年を取ってからできた息子ということがわかります。

母親ペニーはウェイン家の元メイド

トーマス・ウェインと執事アルフレッドが認めている以上、

「母親ペニーがウェイン家のメイドとして働いていた」ことは妄想ではなく事実です。

ここで気になるのは「病気の人間をメイドとして雇うのか?」という点です。

あれだけ金持ちの家ならば雇う前にメンタルチェックもしそうなものですから、

「雇ったあと病気になった」と考えるのが妥当です。

養子になったタイミングは?

養子縁組はアメリカでは珍しくないとはいえ、病気で独身のメイドが養子申請を出して簡単に通るとは思えません。

そのため、いつ・どのタイミングで養子をもらったのか?なぜ精神を病んだのか?

ということが一番のポイントです。


ここで気になるのは、

終盤に映る若い頃のペニーの写真。

そこにはトーマスのイニシャルと、恋文のようなメッセージが書かれていました。


トーマスならばペニーはトーマスと恋仲にあったことになり、


「トーマスに捨てられた悲しみでペニーは精神を病んだ」

産んだ子どもを養子という形で引き取った



という可能性もでてきます。

結局どちらなのか?

前述したとおり、この映画は何が真実か分からない作りになっています。


提示された情報すべてがジョーカーの妄想かもしれません。


なので、最後は「観客が何を信じたいか?」という問題になってくると思います。


個人的には「宿敵が実は異母兄弟」というのは王道の熱い展開なのでこの説を推したいです。


また、アーサーが養子であったとしても

トーマスに捨てられた結果、養子を実子だと思い込むようになったというパターンもあります。

病んだ母の介護がアーサーに与えた負担などを考えると、どちらにせよ、

これまでのバットマンで悲劇とされていた父親の死が実は因果応報ということになります。

「正義とは何か」を問う物語としても、それは面白い結末なのではないでしょうか。

アーサーとブルース

スマイルー笑うジョーカー・笑わないバットマン

バットマンことブルース・ウェインは笑いません。

それはこれまで彼が「両親を亡くしたから」だと考えられてきました。

しかしこの映画の中でもブルースはずっと「笑わない子ども」として描かれています。

大金持ちの子として何不自由なく暮らしているはずなのに、笑わない子ども。

対するジョーカーことアーサーは、笑い声をあげる障害を持ち、コメディアンを目指しています。

そしてこの映画に印象的に挿入される喜劇王チャップリン作曲「Smile」


笑わないブルースと笑うアーサー。


「笑うこと」をポイントとして、ふたりは極めて対照的に描かれているのです。

正義と悪 ー 裏と表

ジョーカーの起こした事件はブルースの両親の死のきっかけとなり、

その結果バットマンが誕生します。

お互いの知らないところで影響し合い、敵対しあうふたり。

そこで思い出すのは前述した映画「ダークナイト」です。

この映画には作品のテーマを象徴する存在として「トゥーフェイス」というキャラクターが登場しますが、

そのテーマというのが「正義と悪とはコインの裏表のようなものである」ということでした。

のちに悪のカリスマとなるアーサーと、悲しき正義のヒーローとなるブルース

「ジョーカー」の中盤、アーサーと幼いブルースがウェイン家の門を挟んで会話するシーンでは、

決して交わることがなく、しかし誰よりも近い存在としての、「正義と悪」の表裏一体さが表現されています。

まとめ

「見ると鬱になる」と話題の映画なので躊躇する方も多いと思うのですが、

こうして考えながら見るとオタク的にも大変楽しい映画ですので、まだ見ていないという方はぜひ。

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