「太陽がいっぱい」-映画評論家・淀川長治「これは同性愛の映画」

サスペンス

フランス映画を代表する美形俳優アラン・ドロンの出世作。

犯罪を描いた古典的名作ピカレスク・サスペンスです。

スポンサーリンク

あらすじ

貧乏な青年トム・リプリー(アラン・ドロン)は、傲慢な金持ちの放蕩息子・フィリップを殺害してなりすまそうとするが…。

美しきピカレスク・サスペンス

あらすじだけ見るとただの犯罪映画ですが、とにかくこの映画、画面が美しい。

まずなんといってもアラン・ドロンの美貌と目の力です。

その目だけでトムのフィリップに対する嫉妬のような感情が伝わってきます。

アラン・ドロンだけでなく、フィリップ役のモーリス・ロネ、フィリップの恋人役マリー・ラフォレもとても顔が良いので、三人が並ぶと見ごたえがあります。

また、物語の舞台となるのはイタリアの漁村

ヨット、青い海、白い建物、眩しい太陽など、南イタリアの明るい鮮やかな風景と、殺人というほの暗さの取り合わせが良いです。

個人的にいいなと思ったのは市場のシーン。
音楽と魚の映し方などの演出が絶妙です。

殺人を描いたクライムムービーですが、ハリウッド的な派手なシーンはなく、じわじわとした盛り上がるタイプの映画です。

そしてやっぱり、海と言えば水着ですよね。

ジャケット写真を見てわかるとおり、その最高の水着姿が見られます。

正直、それだけでも見る価値はある気がします。

持つ者・持たざる者の愛憎

フィリップがトムをパシリのように扱う場面もありますが、
じゃあトムがフィリップを殺したいほど憎んでいたかというと、どうもそうではないような印象を受けました。

二人は背格好が似ていて、 でも一方は金持ちで彼女持ち、もう一方は貧乏という、合わせ鏡のような存在。

持つ者・フィリップに対する、持たざる者・トムの憧れと嫉妬の入り混じった複雑な感情がそこにはあります。

特にそれを象徴しているのが、
トムがフィリップの服を着て、鏡に映るその姿にキスをするシーン。

ギリシャ神話のナルシスもかくやという美しいシーンなのですが、

冷静に考えると、
「金持ちの友達の服を着て金持ち気分に浸る」までは分かるものの、

「鏡に映った友達の服を着た自分の姿にキスをする」というのはどういうことなんでしょう。

トムの目線から見れば、フィリップの服を着たトム「≒フィリップ」なわけですから、

あのシーンは実質トムがフィリップにキスしているシーンとも言えるかもしれません。

具体的にそういった台詞があるわけではないのですが、 この二人の間にある独特な関係性がこの映画をより面白くしています。

淀川長治はこう言った

かの映画評論家・淀川長治は、この映画について次のように述べています。

あの映画はホモセクシャル映画の第1号なんですよね

恐怖対談 (新潮文庫 よ 4-10)』(新潮社)より引用

また、関係者からは以下のようなコメントがあったそうです。

「主人公と、彼に殺害される友人はホモセクシャルな関係にあり、そのことがわからないとこの映画の魅力はつかめない」と終始主張したが、あまり賛同者はいなかった

佐藤有一『わが師淀川長治との50年』(清流出版) より引用

監督本人はこの説を否定されているそうですが、真実のほどはさておき映画の解釈は自由なので、見た方の判断にお任せします。

余談

「太陽がいっぱい」と同じ原作を元に作られたのが、アメリカ映画「リプリー」↓。

主演はマット・デイモンです。
原作に忠実に同性愛的ニュアンスが増えているので、こちらもおすすめ。

ちなみに、この映画の原作者はパトリシア・ハイスミス

女性同士の恋を描いた映画「キャロル」↓の原作者でもあります。

キャロルもいい映画なのでおすすめです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました